先進医療給付金とは?
先進医療技術料の負担をカバーするための給付金
がん治療の際に先進医療を利用した場合、検査・診察などの一般の保険診療と共通する部分は公的医療保険制度の対象(保険診療)になりますが、先進医療の技術料に関しては、保険外診療扱いで全額自己負担になってしまいます。
先進医療の負担水準は様々ですが、特にがん治療で例にあげられる「陽子線治療」や「重粒子線治療」のように300万円前後の負担になるものもあります。それらに備えて、先進医療の技術料実費分を保険で補てんできるようにしたのが「先進医療特約」となります。
主契約のがん保険に合わせて終身補償続くものと、10年や5年更新のものがあります。何回も先進医療技術を利用した場合、通算して受け取れる保険金には上限があり、700万円、1000万円または2000万円と設定されています。
先進医療とは?
厚生労働省が定めた高度な医療技術による医療行為のこと
将来的に健康保険の対象となる一般の治療に導入されることが適当かどうかを評価するため、現場に試験導入される最新医療です。
がん治療において代表的な先進医療といえば「陽子線治療」と「重粒子線治療」です。通常の放射線治療はX線ですが、治療の際に病巣の回りにある健康な部分にまで照射され、同等の線量を受けるのに比べ、陽子・重粒子線の場合は病巣にのみ効率良く照射でき、副作用を軽減させることができます。
また体を切らずに治療を受けれるため身体への負担が少なく、通院治療も可能なため、仕事をしながらでも治療が可能です。
しかし、実施している医療機関がまだ少なく、毎年限られた人数しか治療が受けられませんが、民間での実施機関が出来始めてきており、今後はさらに受療できる人数も増えていくと思われます。
がん先進医療給付 比較
保険会社 商品名 |
契約類 保険期間・支払限度 |
給付金額 |
---|---|---|
アクサ生命
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特約 「ガン先進医療給付特約」 10年・通算2000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
アフラック
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特約 「がん先進医療特約」 10年・通算1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
アメリカンホームダイレクト
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主契約 10年・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
オリックス生命
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主契約 終身・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
ソニー損保
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主契約 終身・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
東京海上日動あんしん生命
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特約「がん先進医療特約」 10年・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
ネクスティア生命
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主契約 10年・500万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
三井住友海上あいおい生命
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特約「がん先進医療特約α」 終身・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
富士生命
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特約「がん先進医療特約」 終身・1500万円まで |
費用が35万~40万→35万円支給 |
メットライフアリコ
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主契約 10年更新・2000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
NKSJひまわり生命
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主契約 終身・1000万円まで |
先進医療費の自己負担額と同額 |
チューリッヒ
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主契約 通算500万円まで |
先進医療費にの技術料と同額負担 |
先進医療の誤解
先進医療は最新の治療法で受療すれば必ず治る?
先進医療とは、健康保険に適応されるかどうかの評価段階の治療で、特に優れた治療を指すものではありません。しかし陽子線治療を例にみると、体にメスを入れる事無く、従来の放射線治療(X線)のように病巣の回りの臓器にダメージを与えること無く治療ができるので、身体に与えるダメージや副作用が少なく、がん治療法として期待されています。
先進医療特約をつけていれば、がんになったときに先進医療を受療できる?
「がん」を患い、「先進医療が受けたい」と主張してもがん治療には、それぞれ確立された標準治療があります。がん細胞の場所・種類によって先進医療を施せない場合もあります。
先進医療を受療できる人数は全国のかん患者の約1%とされていて、誰でもすぐに受けられるわけではないのです。がん保険の先進医療特約が安価なのはそのせいでしょう。
技術内容 |
実施している |
平均費用 | |
---|---|---|---|
陽子線治療 |
放射線の一種である粒子線(放射線)を病巣へ照射し、治療を行う。 | 7ヶ所 |
278万円 |
重粒子治療 |
重粒子線(炭素イオン)を体外から病巣へ向け照射し治療を行う。 |
3ヶ所 |
298万円 |
がん先進医療給付金 まとめ
各保険会社の補足・注意事項でも「療養を受けた日現在の厚生労働省による先進医療の内容に応じ、保険期間中に対象となる先進医療は変動します」と書かれています。
例えば、今現在「A」という先進医療があり、それを対象とした先進医療特約を契約したとします。数年後、「A」の治療が公的医療保険制度(国民保険など)の給付対象となった場合、それ以後に「A」の治療を受けても給付対象にならず、給付金も支給されません。
先進医療特約は、契約したときにイメージしていた補償内容と変わる可能性がある事を認識しておくことが大切です。
先進医療給付が特約の場合でも、月々の保険料は各社100円未満がほとんどなので付加しても差し支えないと思います。